敵を知る、そして呼吸を乱さない

「ジョジョ奇妙な冒険」第一部で、主人公は師匠から仙道を習う。
中核をなす技術は呼吸法であり、戦いの最中でも呼吸を乱さない教えを授かる。
戦いの思想その1「敵の立場で考えよ」
戦いの思想その2「恐怖を我が物としろ、その時呼吸は乱れない」
呼吸と心は密接な関係にある。呼吸を乱さなければ、心も乱れない。
その意味で「ヨガスートラ」という経典とも共通の教えだと思う。
「ヨガとは、心の諸現象を抑制することである」
「ヨガにより心の諸現象が抑制された時には、純粋真我は本然の状態に戻る」
呼吸を乱さなければ、心は本来の平安を取り戻す。
あらゆる状況で呼吸と心を制御するためには、
敵を知り、恐怖を克服する、知恵と勇気が必要だ。
敵とは何だろうか。僕は戦争も、決闘も体験したことがない。
しかし、戦争や決闘がなくても、心身が傷つくことはある。
日本では2012年までの30年以上、毎年2万~3万数千人の自殺者がいる。
鬱病などで働けなくなる人は、もっと大勢いる。
いじめが原因で学校に行けなくなる子供もいる。
敵とは何だろうか。どうすれば身を守れるだろうか。
特定の悪者を退治して解決できるケースは少ない。
目に見えない敵が、とても多い。
ヨガや武道を通じて、心身を平安な状態に戻す努力を続ければ、
平安を損ねる要因に敏感に気がつくことができる。
マッサージなどで体をほぐすと、体の凝りに気がつけるように。
ヨガや武道で呼吸を整えると、呼吸の乱れに気がつける。
呼吸の乱れを通じて、敵の存在に気がつくことができる。
敵とは、平安を損ねる存在である。
敵は自分の外側だけではなく、自分の内側にこそ見つけることができる。
自分が相手を傷つけようとするとき、呼吸は乱れる。
呼吸の乱れを通じて、心の乱れに気がつくことができる。
「あれ・・・?今、どんな気持ちで相手に話しかけた?」
僕は毎日の修行を通じて、自分の内側に存在する敵を知った。
自分がなぜ相手を傷つけてしまうのか、その原因と向き合った。
自分の内側の敵と向き合えば、外側の敵とも向き合いやすくなる。
相手が自分を傷つけようとするとき、自分の呼吸は乱れる。
恐怖を感じたときこそ、勇気が試される。
ヨガスートラ第一章、33節にはこう書いてある。
「幸福に対しては親しみの思いを、不幸に対しては慈悲の思いを、
善に対しては喜びの思いを、そして悪に対しては無関心を、
それぞれ想起するならば、心は自然に静けさを得て平穏になっていく」
自分の呼吸を整え、相手の乱れた心から、自分の心を引き離す。
相手の心に同調して呼吸を乱すことなく、静かに呼吸を整え続ける。
やがて、乱れた心と、平安な心の差がはっきりと際立ってゆく。
相手も、周囲の人間も、乱れた心と、平安な心の差に気がつく。
互いの心の波長が合わなくなれば、縁は切れる。
もし物理的に距離が近いままでも、相手の心の乱れとは縁が繋がらなくなってゆく。
そして、相手を許してあげられれば、本当の平安が訪れる。
だれだって相手を傷つける、だから、人は許さなければならないと思う。
傷つけられたり、危険な状態に会ったことの無い人は幸せだ。
しかし、心の乱れは誰にでも起こる。知らない内に相手を傷つけていることもある。
恐怖を知らないことにより、平安を確立するのではない。
本当の平安は、敵を知り、恐怖を克服した先にある。
「人間讃歌は勇気の賛歌ッ」
ジョジョの奇妙な物語シリーズに溢れる人間讃歌が、今日も世界中で歌われている。
世界中の人々の心が平安に満ち溢れるまで、勇気を讃える歌は続く。
心の平安を築くという共通の目標に向かって
ヨギは武道と出会う
※イメージ写真はジョジョの奇妙な物語 第4巻の表紙のまねです
「ジョジョ立ち教室」のホームページを参考にさせていただきました。