シャクティ・ヨガ・サーダナ

体内を流れる有限の気にとどまらず、
天地を流れる普遍的な気と密接に結びつくための行法がある。
天地を創造し、全ての生命を育むそのエネルギーを、我々は「シャクティ」と呼んでいる。
心身を鍛え、気道を整え、呼吸法で気を練り、精神統一に入る。
やがて、深い呼吸と共に体内にシャクティエネルギーが流入し、体を整えるようになる。
体内の気と、天地の気が繋がる体験を通じて、
全ての生命と共通のエネルギーで活動している自己の存在を思い出すことができる。
その感覚は、雄大な山々に感動する登山家のように、大海原を渡る漁師のように、
大自然の恵みの中で生かされる自分を思い出し、感謝と感動に包まれる体験だ。
その瞬間、ちっぽけな自分の存在を忘れ、大きな生命と共に生きる自己を思い出す。
心と体の健康はとても大切だ。
心と体は生まれてから死ぬまでずっと共にある。
しかしそれ以前に、天地を創造し、全ての生命を育むエネルギーは、
僕が生まれる前から、死んだ後もずっと共にある。
僕がそのことを忘れていても、思い出しても、ずっと変わらない。
桜に花が咲き、やがて散っても、また春が来れば桜が咲くように、
人が生まれて、やがて死んでも、また地球には人が誕生する。
桜の花びらに名前をつけたなら、散るときは永遠の別れを感じるかもしれない。
花びらを見るか、木を見るか、その違いが、生命の認識を変化させる。
自分とは何か。誰一人、同じ人生を歩むことは無い、唯一無二の存在である。
自分とは何か。人類が誕生してから脈々と受け継がれた子孫の一人でもある。
自分とは何か。地球に生命が誕生してから、無限の進化を遂げた生命の末端でもある。
有限の肉体意識から、より普遍的な生命意識へと認識を変化させる道がある。
それは、人類を兄弟姉妹と感じ、宇宙に満ちる愛と英知と共に生きる道である。
有限から無限へと意識を結ぶ道は無数にあるが、その中に一筋の輝ける王道がある。
その王道こそを「ヨガ」と呼ぼう。アーサナはその第一歩として重要である。